【例文あり】会議後の決定事項・To Doを明確に伝える文章作成ステップ
日々の業務で会議に参加される機会は多いかと存じます。会議で活発な議論が行われ、重要な決定がなされたとしても、その内容や次に取るべき行動が参加者間で曖昧なままでは、会議の成果が十分に活かされません。特に、会議後に「結局、何が決まったのか」「自分が何をすれば良いのか」が不明確なままでは、後々の手戻りや関係者間の認識齟齬を招く可能性が高まります。
本記事では、会議で決定した事項や、それに伴うアクションアイテム(To Do)を、関係者に正確かつ迅速に「伝わる」文章で共有するための具体的なステップをご紹介します。これらのステップを実践いただくことで、会議の効果を最大化し、その後の業務をスムーズに進めることができるようになります。
なぜ会議後の情報共有文章が重要なのか
会議後の情報共有は、単なる議事録の送付とは異なります。そこには主に以下の目的があります。
- 決定事項の確実な記録と周知: 口頭での確認だけでは抜け漏れや誤解が生じやすいため、文書として明確に残し、関係者全員に共有することで認識を一致させます。
- アクションアイテムの明確化: 「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを具体的に示し、参加者各自の責任と期限を明確にすることで、行動を促します。
- 認識齟齬の防止: 関係者間で情報レベルや解釈に違いがないように、共通の情報を共有基盤とします。
これらの目的を達成するためには、「伝わる」文章を作成することが非常に重要になります。
会議後の情報共有文章を作成するステップ
会議後の情報共有文章を作成する際は、以下のステップを踏むことで、より正確に、そして行動を促す内容にすることができます。
ステップ1: 伝えるべき情報を整理する
まず、会議中に決定した事項や生まれたアクションアイテムを正確にリストアップします。このとき、単に箇条書きにするだけでなく、以下の要素を含めるように意識します。
- 決定された内容: 会議で最終的に合意・決定されたこと
- アクションアイテム(To Do): 決定事項を実行するために必要な具体的なタスク
- 担当者: そのタスクを誰が行うのか
- 期日: そのタスクをいつまでに完了するのか
- 関連情報へのリンク: 議事録本体、参照資料、関連する課題管理ツールのURLなど
決定事項やアクションアイテムは、会議の進行役や議事録担当者が、会議中に参加者に確認を取りながらリストアップすると、より正確性が高まります。
ステップ2: 伝わりやすい構成で文章を作成する
ビジネス文章の基本通り、最も伝えたいことから書き始めます。会議後の情報共有文章で最も重要なのは、「何が決まって、誰が何をいつまでにするのか」です。
推奨される構成は以下の通りです。
- 件名: 一目で内容が分かるように明確に記載します。(例: ○月○日 [プロジェクト名] 会議決定事項およびTo Doのご連絡)
- 冒頭: 参加者へのお礼や、何に関する連絡かを簡潔に述べます。
- 重要な決定事項・To Doの要約: 会議で最も重要だった決定事項や、キーとなるアクションアイテムを最初にまとめて提示します。ここで大枠を掴んでもらいます。
- 決定事項の詳細: 重要な決定事項について、背景や理由なども含めて補足説明が必要であれば記述します。
- アクションアイテム(To Do)リスト: ステップ1で整理したアクションアイテムを、担当者、期日と共に明確にリストアップします。箇条書きや表形式で見やすく整理することが効果的です。
- 補足情報: 議事録本体へのリンクや、次回の会議予定など、関連情報を記載します。
- 結び: 今後の協力をお願いする言葉などを添えます。
ステップ3: 具体的な表現を心がける
曖昧な表現は避け、具体的な言葉を選びます。
- 曖昧な表現の例: 「今後検討します」「関係部署と調整」「前向きに進める」
- 具体的な表現の例: 「〇〇チームのAさんに〇月〇日までに△△の調査を依頼します」「来週中にBさんと打ち合わせを行い、具体的なスケジュールを決定します」
特にアクションアイテムを記述する際は、「〜する」「〜を提出する」「〜を連絡する」のように、具体的な行動を示す動詞を使用し、「誰が」「何を」「いつまでに」を必ず明記します。箇条書きを使用し、各項目を独立させて記述すると、読み手が自分のタスクを素早く見つけやすくなります。
ステップ4: 抜け漏れがないか、誤解なく伝わるかを確認する
文章を書き終えたら、送信前に必ず見直します。
- 会議で決定された重要な事項がすべて網羅されているか。
- すべてのアクションアイテムが担当者と期日と共に明確に記載されているか。
- 専門用語や略語は、関係者全員が理解できるものか。補足説明が必要な場合は加えているか。
- 誰が読んでも誤解なく、意図した通りに伝わる表現になっているか。
- 誤字脱字はないか。
可能であれば、同席していた別の関係者に内容を確認してもらうことも、客観的な視点が入るため有効です。
例文で見る「伝わる」会議後文章
ここでは、架空の会議を想定した「伝わりにくい例」と「伝わる例」を示します。
伝わりにくい例:
件名:〇〇プロジェクト定例会のご報告
皆様
先日の定例会お疲れ様でした。
いくつかの事項が決定し、いくつか対応をお願いすることになりました。
今後の進め方について、特に次のフェーズに関わる部分が決まりましたので、関係者はご確認ください。
また、新しいタスクもいくつか出ていますので、皆さんで協力して対応をお願いします。詳細は添付の議事録をご確認ください。
引き続き、よろしくお願いいたします。
伝わりにくい点: * 件名で内容が不明確。 * 「いくつかの事項が決定」「いくつか対応」「新しいタスク」「皆さんで協力」など、具体性がなく曖昧。 * 誰が何をいつまでにするのかが全く分からない。 * 肝心な情報が議事録添付に依存している。
伝わる例:
件名:【重要】〇月〇日 △△会議決定事項および今後のアクションアイテムのご連絡
皆様
〇月〇日に実施いたしました△△会議にご参加いただき、誠にありがとうございました。
会議での決定事項および、今後のアクションアイテムを以下の通りご連絡いたします。
■ 主な決定事項
・フェーズ2への移行を〇月〇日付で正式に承認しました。
・開発チームの体制について、来月から〇〇氏にリーダーをお願いすることが決定しました。
■ アクションアイテム(To Do)一覧
以下のタスクについて、担当者と期日をご確認の上、実施をお願いいたします。
・**タスク:** フェーズ2移行計画書のドラフト作成
**担当者:** 山田
**期日:** 〇月〇日(金)
**補足:** 承認された要件に基づき、主要なマイルストーンを含めてください。
・**タスク:** 〇〇システム連携部分の技術調査
**担当者:** 田中
**期日:** 〇月〇日(水)
**補足:** 議事録P.5の懸念点も考慮に入れて調査をお願いします。
・**タスク:** 関係部署(営業部)への連携開始日の周知
**担当者:** 佐藤
**期日:** 〇月〇日(火)
**補足:** 周知内容は山田さんが作成する計画書ドラフトを参考にしてください。
■ 補足事項
・会議議事録の詳細は、以下のURLよりご確認ください。
[議事録URLを記載]
・次回の△△会議は〇月〇日(〇)〇時を予定しております。
ご不明な点がございましたら、〇〇までお気軽にご連絡ください。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
伝わる点: * 件名で重要事項と内容が明確。 * 冒頭で何に関する連絡かを示している。 * 「主な決定事項」と「アクションアイテム」を明確に分けて記述している。 * アクションアイテムは箇条書きにし、「タスク」「担当者」「期日」「補足」を明確に示している。誰が何をすべきかが一目で分かる。 * 関連情報(議事録URLなど)への誘導がある。 * 丁寧な言葉遣いで、落ち着いたトーン。
まとめ
会議後の情報共有文章は、会議の成果を確実な行動につなげるための重要なステップです。本記事でご紹介した、伝えるべき情報の整理、伝わりやすい構成、具体的な表現、そして確認・推敲という4つのステップを実践いただくことで、「結局どうなったんだっけ?」「これって誰がやるんだ?」といった曖昧さを解消し、関係者全員が同じ認識でスムーズに業務を進めることができるようになります。
これらのステップは、特別な知識や時間をかけずに、すぐに日々の文章作成に取り入れていただけます。ぜひ、次回の会議後から実践してみてください。会議の効果を最大限に引き出し、「伝わる」コミュニケーションを実現しましょう。