【例文あり】依頼への返信で、相手の期待値を明確に伝える文章作成ステップ
日々の業務で、上司や同僚、取引先から様々な依頼を受ける機会は多いかと思います。依頼に対し、「分かりました」「確認します」といった返信をされることも少なくないでしょう。しかし、こうした一言だけの返信では、相手は本当に依頼内容が伝わったのか、いつまでに何をしてくれるのかが分からず、不安を感じることがあります。
また、返信が曖昧なまま作業を進めてしまうと、後になって「思っていたものと違う」「期日を勘違いしていた」といった認識のズレが生じ、手戻りや人間関係の軋轢に繋がる可能性も否定できません。
この記事では、依頼を受けた際に、相手の期待値を明確に伝え、スムーズな協業を促すための文章作成ステップをご紹介します。これらのステップを実践することで、誤解や手戻りを減らし、信頼関係を構築することに役立てていただけると考えられます。
ステップ1:依頼内容を正確に理解したことを伝える
依頼を受けた際にまず行うべきことは、相手の依頼内容を正確に理解したことを伝えることです。これにより、相手は「自分の意図が伝わった」と安心することができます。依頼内容の主要なキーワードを繰り返したり、自分の言葉で要約して返信に含めると効果的です。
もし、依頼内容に不明な点がある場合は、この段階で具体的に質問しましょう。「曖昧なまま引き受けて後で問題になる」ことを避けるための重要なステップです。
例文:理解を示す返信
- 「〇〇の件、承知いたしました。」
- 「先日ご依頼いただいた、△△に関する資料作成の件ですね。内容を確認いたしました。」
- 「添付いただいた資料を拝見しました。プロジェクト概要について理解しました。」
例文:不明点を質問する返信
- 「〇〇の件について承知いたしました。一点確認させてください。資料の提出形式はPowerPointでよろしいでしょうか。」
- 「△△の件、ありがとうございます。恐れ入りますが、期日を〇月〇日までとしていただけますでしょうか。」
ステップ2:依頼に対する「アクション」を明確に示す
依頼内容を理解したことを伝えたら、次はその依頼に対して「あなたが何を、いつまでにするのか」というアクションを明確に伝えましょう。ここが、相手の期待値を調整する上で最も重要な部分です。
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引き受ける場合: 「〇〇の件、承知いたしました。〇月〇日までに初稿を提出いたします。」 「△△の件、承知いたしました。早速、必要な情報を集め、来週中にご報告いたします。」 このように、いつ、何を完了させるかを具体的に示します。
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引き受けられない、または条件付きで引き受ける場合: 単に「できません」と伝えるのではなく、できない理由(他の業務との兼ね合いなど)や、代替案、協力できる範囲などを具体的に示します。 「〇〇の件、ありがとうございます。大変恐縮ながら、現在抱えている別の業務のため、ご依頼いただいた期日までの対応が難しい状況です。つきましては、〇月〇日まででしたら対応可能ですが、いかがでしょうか。」 「△△の件、ありがとうございます。私の専門外となりますため、詳細な分析は難しいですが、情報収集のみでしたら協力可能です。その場合、来週中に収集した情報をお渡しできます。」
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検討が必要な場合: すぐに可否を判断できない場合は、「いつまでに検討結果を連絡するか」という期日を伝えます。 「〇〇の件、承知いたしました。内容を拝見し、本日の営業時間内に対応可否を含め改めてご連絡いたします。」 「△△の件について、詳細な資料が必要となりますため、一度持ち帰って検討させてください。明日午前中には結果をご報告いたします。」 検討に時間を要する場合でも、「いつ回答があるか」が分かれば、相手は安心して待つことができます。
ステップ3:相手への「協力依頼」や「確認」を添える(必要に応じて)
依頼を遂行するにあたり、相手からの追加情報や協力を必要とする場合があります。その際は、返信の中で分かりやすく依頼事項を盛り込みましょう。また、自分の理解が正しいか、念のため相手に再確認を求めることも、認識齟齬を防ぐために有効です。
例文:協力依頼
- 「〇〇の資料作成にあたり、過去の議事録を参照させていただきたく存じます。格納場所をご教示いただけますでしょうか。」
- 「△△の件を進めるため、〇〇様との連携が必要となります。ご紹介いただけますと幸いです。」
例文:認識の再確認
- 「今回の依頼は、〇〇について△△するという理解で合っておりますでしょうか。」
- 「上記の内容と期日で対応を進めて問題ございませんでしょうか。ご確認いただけますと幸いです。」
まとめ:期待値を明確に伝えることで得られるメリット
これらのステップを踏んで依頼への返信を作成することで、相手はあなたの理解度や、次に期待できるアクション、そしてその期日を正確に把握することができます。これは相手の不安を解消し、スムーズなコミュニケーションを促進するだけでなく、後々の手戻りや修正依頼を減らすことにも繋がります。結果として、あなた自身の業務効率も向上し、相手との信頼関係も深まることでしょう。
日々の忙しい業務の中で、つい簡単な返信で済ませてしまいたくなることもあるかもしれません。しかし、ほんの一手間をかけて「依頼内容の理解」「あなたのアクションとその期日」「必要に応じた協力依頼/確認」を含める意識を持つだけで、「伝わる」返信となり、多くのメリットが得られます。
これらのステップを参考に、ぜひ日々のビジネスコミュニケーションに取り入れてみてください。