かんたん伝わる文章術

面識のない相手にも失礼なく伝わる文章作成ステップ

Tags: ビジネスメール, メール作成, 文章術, コミュニケーション, 新規連絡

はじめに

ビジネスにおいて、面識のない相手に初めて連絡を取る機会は少なくありません。例えば、問い合わせをしたい、紹介された方に挨拶をしたい、協業をお願いしたいなど、様々なシチュエーションが考えられます。

こうした初めての連絡は、送る側にとって少なからず不安が伴う場合があります。失礼な印象を与えないか、意図が正確に伝わるか、といった懸念から、文章作成に時間がかかってしまうこともあるかもしれません。

しかし、ご安心ください。面識のない相手への連絡においても、「伝わる」文章を作成するための基本的なステップとポイントがあります。これらを押さえることで、自信を持って、そして効率的にコミュニケーションを図ることが可能になります。

この章では、初めての連絡で相手に良い印象を与え、かつ自分の目的をスムーズに伝えるための具体的な文章作成ステップをご紹介します。

基本的な構成要素を押さえる

面識のない相手へ送るビジネスメールは、いくつかの基本的な構成要素で成り立っています。これらの要素を漏れなく含めることが、「誰からのどんな用件か」を相手に素早く理解してもらうために重要です。

一般的な構成は以下の通りです。

  1. 件名: 内容が一目でわかるようにする
  2. 宛名: 正確に記載する
  3. 自己紹介・経緯: なぜ連絡をしたのかの背景を簡潔に説明する
  4. 目的・依頼内容: 最も伝えたいこと、相手にしてほしいことを明確にする
  5. 詳細補足: 必要に応じて、目的達成のために必要な情報を提供する
  6. 締めの挨拶: 丁寧な言葉で締めくくる
  7. 署名: 自分の所属・連絡先を記載する

次からは、これらの各要素について、具体的な書き方のステップを見ていきましょう。

ステップ1:件名を明確にする

件名は、相手がメールを開封するかどうか、そして内容を素早く把握できるかを左右する非常に重要な要素です。特に面識のない相手の場合、件名だけを頼りにメールを判断することが多いため、件名で内容を正確に伝える必要があります。

書き方のポイントは以下の通りです。

例文:

ステップ2:宛名を正しく書く

宛名を間違えることは、大変失礼にあたります。会社名、部署名、役職名、氏名を確認し、正確に記載することが基本です。

書き方のポイントは以下の通りです。

ステップ3:自己紹介と経緯を簡潔に伝える

メールを開いて最初に伝えるべきは、「自分が誰で、なぜメールを送ったのか」という背景です。面識がないため、まず自己紹介と、どのように相手を知ったか、なぜ連絡するに至ったかの経緯を簡潔に説明します。

書き方のポイントは以下の通りです。

例文:

「初めてご連絡させていただきます。株式会社〇〇の山田太郎と申します。 この度は、弊社の佐藤健介より、△△様をご紹介いただきました。」

「突然のご連絡失礼いたします。株式会社〇〇 企画部の山田と申します。 貴社Webサイトの〇〇に関する記事を拝見し、ぜひお伺いしたいことがございましてご連絡いたしました。」

ステップ4:目的・依頼内容を明確に伝える

自己紹介と経緯に続いて、メールの最も重要な部分である「目的」や「依頼内容」を明確に記述します。ここで何が言いたいのかが曖昧だと、相手は何をすれば良いのか分からず、返信が遅れたり、意図が正確に伝わらなかったりします。

書き方のポイントは以下の通りです。

例文:

「つきましては、〇〇の件で△△様にいくつかお伺いしたいことがございまして、お電話かWeb会議にて15分ほどお時間を頂戴できますでしょうか。」

「誠に恐縮ながら、貴社製品〇〇のカタログと、導入事例の資料をご提供いただけますでしょうか。」

ステップ5:詳細補足や必要な情報を提示する

目的や依頼内容だけでは不十分な場合、詳細を補足したり、相手が判断するために必要な情報を提供したりします。長文になりそうな場合は、箇条書きなどを活用して情報を整理すると読みやすくなります。

書き方のポイントは以下の通りです。

ステップ6:締めの挨拶と連絡先を明確にする

メールの最後は、丁寧な締めの言葉で結びます。そして、相手からの返信や連絡を受けやすいように、自分の連絡先を正確に記載した署名をつけます。

書き方のポイントは以下の通りです。

例文:

「お忙しいところ大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。」

(署名) 〇〇株式会社 企画部 山田 太郎 〒XXX-XXXX 東京都〇〇区〇〇 1-2-3 TEL: XXX-XXXX-XXXX FAX: XXX-XXXX-XXXX E-mail: yamada@example.com URL: https://www.example.com

実践のヒント:送信前の最終チェック

メールを作成し終えたら、送信前に必ず最終チェックを行いましょう。特に面識のない相手へのメールは、一度送ってしまうと取り返しがつかない場合があります。

チェックリストの例:

これらのポイントを確認することで、より確実に「伝わる」メールを送信することができます。

まとめ

面識のない相手への連絡は、ビジネスコミュニケーションの中でも特に慎重さが求められる場面です。しかし、今回ご紹介した基本的な構成と各ステップを意識することで、誰でも自信を持って「伝わる」文章を作成することができます。

件名、宛名、自己紹介・経緯、目的・依頼、詳細補足、締めの挨拶、署名といった要素を適切に配置し、それぞれのポイントを押さえることが成功の鍵となります。

これらのステップを実践し、自信を持って初めての連絡に臨んでください。一つ一つの丁寧なコミュニケーションが、新たなビジネスチャンスへと繋がる可能性があります。