【例文あり】ビジネスチャットで誤解なく正確に伝える短文作成ステップ
ビジネスシーンにおいて、メールだけでなくチャットツール(Slack, Teamsなど)を活用する機会が増えています。チャットは手軽でスピーディーな情報伝達が可能ですが、その特性ゆえに意図が正確に伝わらず、誤解を生んでしまうことも少なくありません。特に短い文章で多くの情報を伝えたり、迅速な判断を求めたりする際には、工夫が必要です。
ここでは、ビジネスチャットで誤解なく、正確に意図を伝えるための短文作成ステップをご紹介します。日々のチャットコミュニケーションの質を高め、より円滑な情報共有を実現するためにお役立ていただければ幸いです。
ステップ1:チャットの特性を理解する
チャットでの文章作成を始める前に、その特性を改めて理解することが重要です。
- リアルタイム性: メールのCc/Bccのように細かな送信先設定が難しい場合が多く、グループチャットでは複数人が同時に情報を受け取ります。発言のタイミングや流れが重要になります。
- 非定型性: メールの「件名」「宛名」「時候の挨拶」といった定型的な要素が少ないため、本題にすぐに入れます。一方で、丁寧さや配慮が不足しがちになる側面もあります。
- 手軽さ: スマホなどからも簡単にアクセスでき、短い文章でのやり取りが中心です。この手軽さから、情報が断片的になったり、確認がおろそかになったりする可能性があります。
これらの特性を踏まえ、短い文章でも相手に正確に伝えるための工夫が必要となります。
ステップ2:最も伝えたいことを冒頭に置く
チャットでは多くの情報が次々と流れてきます。重要な情報を見落とされないためには、メッセージの冒頭で最も伝えたいこと(結論や要件)を明確にすることが効果的です。
悪い例:
先日ご相談した件ですが、〇〇様からいただいた資料を基に、いくつか新しい案を考えてみました。特に課題となっていた△△の部分について、具体的な解決策になりそうなアイデアがあります。もしよろしければ、今日の午後に少しお時間をいただけないでしょうか。
この例では、何をしたいのか(時間の確保)がメッセージの最後に書かれており、すぐに意図が伝わりにくい可能性があります。
良い例:
【ご相談】本日午後、〇〇の件で15分ほどお時間をいただけないでしょうか。
先日ご相談した件(△△に関する資料検討)について、新しいアイデアをいくつか考えてみました。資料は添付しますので、ご確認いただけますと幸いです。
このように、冒頭で要件を提示し、可能であれば【】などで目的を明記することで、受信者は瞬時にメッセージの重要性や内容を把握できます。
ステップ3:一文一義を心がけ、情報を整理する
短い文章の中に複数の情報や依頼を詰め込むと、読みにくく、誤解のもとになりやすいです。一つの文章では一つの内容を伝えるようにし、複数の情報を伝える場合は箇条書きや改行を使って整理します。
悪い例:
明日の会議ですが、資料の準備状況と、参加者への共有方法について教えていただけますか?あと、議事録の担当も決まっていなければ教えてほしいです。
複数の質問が混在しており、回答しにくい文章です。
良い例:
明日の会議について、いくつか確認させてください。
・資料の準備状況はいかがでしょうか?
・参加者への資料共有方法について教えてください。
・議事録の担当者は決まっていますか?
よろしくお願いいたします。
このように箇条書きで質問を分けることで、受信者は質問内容を正確に把握し、漏れなく回答しやすくなります。
ステップ4:依頼や確認事項は形式を整える
チャットで依頼や確認をする際は、相手がすぐに内容を把握し、対応しやすくなるように形式を整えることが推奨されます。冒頭での目的明記(ステップ2)に加え、具体的な依頼内容、期日、必要な情報などを分かりやすく記述します。
例文:
【〇〇プロジェクト 資料作成依頼】
△△様
お疲れ様です。
〇〇プロジェクトで使用する顧客リストの資料作成をお願いできますでしょうか。
・依頼内容:添付のフォーマットに従い、最新の顧客リスト(A社〜E社分)を作成
・期日:〇月〇日(〇)午前中まで
・補足:不明点があれば、いつでもご連絡ください。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
このように、【】で依頼内容を明確にし、箇条書きで詳細を提示することで、受信者は一目で内容を把握できます。期日や必要な情報も併記することで、手戻りを減らすことができます。
ステップ5:状況に応じた配慮を加える
チャットは手軽なコミュニケーションですが、相手への配慮も忘れてはなりません。「お疲れ様です」「よろしくお願いいたします」といった挨拶や、「お忙しいところ恐縮ですが」「ありがとうございます」といった感謝の言葉を適宜加えることで、丁寧な印象を与えることができます。
また、相手の状況(離席中か、会議中かなど)を考慮し、緊急度に合わせてメッセージの送り方を変えることも重要です。緊急の場合は「【緊急】」といった目印をつけたり、電話での連絡を検討したりすることも必要になる場合があります。絵文字やスタンプの使用については、社内の文化や相手との関係性に合わせて慎重に判断することが求められます。基本的にはビジネスシーンでは控えめに使用するか、誤解の余地のないもの(例: 確認しましたの意味で「✅」など)に限定するのが安全です。
まとめ:実践は「かんたん」である
ビジネスチャットでの文章作成は、メールほど形式にこだわる必要はありませんが、「相手に正確に伝える」という基本原則は変わりません。今回ご紹介した
- チャットの特性を理解する
- 最も伝えたいことを冒頭に置く
- 一文一義を心がけ、情報を整理する
- 依頼や確認事項は形式を整える
- 状況に応じた配慮を加える
というステップは、どれも今日からすぐに実践できる簡単なものです。
これらのステップを意識することで、あなたのチャットメッセージはより伝わりやすくなり、ビジネスコミュニケーションの効率向上に繋がるでしょう。ぜひ、日々の業務に取り入れてみてください。